西オーストラリア州における乳児全員を対象とした最初の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン接種プログラムの影響を推定する:数理モデルを用いた研究。
DOI:10.1016/j.vaccine.2025.127155
アブストラクト
背景:オーストラリアの医薬品医療機器行政庁(TGA)は、2023年11月に呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の予防を目的とした長作用型モノクローナル抗体であるニルセビマブの使用を承認しました。西オーストラリア州(WA)は、流行シーズン前にすべての乳児を保護するため、2024年4月からニルセビマブの投与戦略を組み合わせた対策を実施しました。私たちは、WAのRSV免疫化プログラムが乳児の入院に与える影響を予測するため、動的伝播モデルを開発しました。
方法: 当モデルは、2015年から2019年までの温帯地域WAにおける5歳未満の子供の月次集計入院データで校正されています。モデルは、年齢とリスクグループごとに異なる接種率でニルセビマブの投与を反映するように拡張され、有効性試験データを用いて、投与時から人口レベルでのニルセビマブの保護効果をシミュレートするためのパラメーター化が行われました。
結果: 観察された接種率の下で、温帯地域WAの2歳未満の乳幼児におけるRSV関連入院の約3分の1が、ニルセビマブ乳児予防接種プログラムにより回避されることが予測されます。新生児を4月から9月に接種する場合、2歳未満の乳幼児におけるRSV関連入院の最大28%を回避する可能性が示されました。プログラムを2歳児全員を対象に拡大すると、温帯地域WAの幼少児のRSV入院の約半数を予防できる可能性があります。結論:WAで実施されたようなニルセビマブを用いた包括的な季節性乳児予防接種プログラムは、幼少児のRSV入院負担を大幅に軽減できます。特に、年間流行期の前後に出生時に予防接種を実施することが、入院予防に最も大きな影響を与えることが示されました。
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