小児肝移植における拒絶反応の発現と臨床転帰における移植後HLAクラスIIドナー特異的抗体の臨床的意義:単一施設におけるレトロスペクティブ研究。
DOI:10.1111/tan.70211
アブストラクト
小児の肝移植(LT)レシピエントにおける移植後の抗HLAクラスIIドナー特異抗体(DSA)の臨床的関連性を評価すること。当センターで2019年1月から2022年12月までにLTを受けた小児患者346例を含む後方視的コホート研究を行った。HLAクラスII DSAの状態に基づき、クラスII DSA陽性群(n=74)とクラスII DSA陰性群(n=272)に分けた。人口統計学的データ、生検で証明された拒絶反応、DSAの特徴、臨床転帰、移植後の合併症のデータを群間で比較した。本研究では、346例の小児LTレシピエントを対象とした。これらの患者のうち、74例(21.4%)がクラスII DSA陽性で、272例(78.6%)がクラスII DSA陰性であった。LTからclass II DSA評価までの中央値および四分位範囲は、移植後12ヵ月(3~24ヵ月)であった。クラスII DSA陰性患者と比較して、移植後のクラスII DSAはT細胞介在性拒絶反応(p = 0.033)および抗体介在性拒絶反応(p = 0.045)のリスクを有意に増加させることと関連していた。術後、サイトメガロウイルス感染(p = 0.003)および真菌感染(p = 0.007)の発生率は、クラスII DSA陽性群でクラスII DSA陰性群よりも高かった。胆道合併症(p < 0.001)および腸内細菌叢の変化(p = 0.007)を含む有害事象の発生頻度は、class II DSA陽性群でより高かった。多変量解析により、移植後のクラスII DSAはT細胞介在性拒絶反応の独立した危険因子であることが示された(OR 2.027、95%CI:1.109-3.706、p = 0.022)。クラスII DSA陽性群では、22例(30.6%)が移植後にT細胞介在性拒絶反応を発症し、HLA-DRに対するDSAでは5例(6.9%)、HLA-DQに対するDSAでは12例(16.2%)、HLA-DR+HLA-DQに対するDSAでは5例(6.7%)であった。クラスII DSAのMFI値は、T細胞介在性拒絶反応のある患者ではない患者より有意に高くはなかった。結論として、移植後にクラスII DSAを発症した患者におけるAMRの発生率は、クラスII DSA陰性の患者におけるAMRの発生率よりも高いことが示された。さらに、移植後のクラスⅡDSAは移植後TCMRの独立した危険因子であった。これらの結果は、クラスII DSAのモニタリングが小児LTレシピエントにとって有用なツールであることを示唆している。しかし、本研究のサンプル数が比較的少ないため、検証のためには、サンプル数を増やしたさらなる研究が必要である。
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