米国における乳児を対象とした二価呼吸器合胞体ウイルス(RSV)プレフュージョンF(RSVpreF)母体ワクチン のコスト効果。
DOI:10.1016/j.vaccine.2025.127191
アブストラクト
背景:呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、乳幼児における呼吸器感染症(RTI)の主要な原因の一つです。妊娠中の女性を対象に、その乳児のRSV下気道感染症(RSV-LRTI)予防を目的とした新規の二価安定化前融合Fサブユニットワクチン(RSVpreF)は、2023年9月に米国予防接種諮問委員会(ACIP)により、妊娠32週から36週の妊娠中の女性への使用が推奨されました。本研究では、米国乳児におけるRSV予防を目的とした母親のRSVpreFのコスト効果を評価しました。
方法:出生から1歳までのRSVの臨床的転帰と経済的コスト、および早産によるRSV関連死亡の生涯にわたる影響をモデル化するために、コホートモデルを採用しました。年間通年投与と季節性投与のRSVpreFのコスト効果を、介入なしの場合と比較して評価しました。モデル入力には、RSV疾患の発生率と致死率、ワクチン有効性(臨床試験解析から導出)、RSVpreFのコスト、RSV治療のコスト、および介護者の労働損失コストが含まれます。臨床アウトカム(月次推計)には、医療受診を要したRSV症例、RSV関連下気道感染症(RSV-LRTI)死亡、および質調整生存年(QALY)が含まれます。経済的コストは、接種されたワクチン、症例数、および対応する単位コストに基づいて算出し、2023年米ドルで報告されました。コストと利益は年3%で割引率を適用しました。
結果:年間を通じた母親のRSVpreFワクチン接種は、入院件数13,349件、救急部門受診件数32,414件、外来診療件数96,540件の減少をもたらし、直接医療コストは$366百万増加し、間接(非医療)コストは$80百万減少しました。2,264の追加QALYを考慮したコスト効果比は$89,733/QALYでした。季節的な母親ワクチン接種は、ケア設定に依存して23~39%の症例減少をもたらしましたが、全体としてコスト削減効果があり、優位なコスト効果比を示しました。
結論:RSVpreFを用いた母親のワクチン接種は、乳児のRSVによる臨床的・経済的負担を大幅に軽減し、年間通じて接種した場合のQALYあたり$89,733のコスト効果比、または季節的に接種した場合のコスト削減効果をもたらします。
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