イラン人小児における口腔内HPV感染の有病率と遺伝子型の分布(幼児期)。
DOI:10.1186/s12985-025-02767-x
アブストラクト
背景:口腔におけるヒトパピローマウイルス(HPV)感染は、若年層で一般的であることが示されているが、その影響は不明である。持続的な口腔癌原性HPV感染は口腔咽頭悪性腫瘍につながる可能性がある。HPVの母体から胎児への感染は、新たに出現しつつあると思われる水平感染経路のほかに、まだ疑問が残されている。HPV感染は若年層ではほとんど一過性であるが、小児の口腔HPVを検出することは、この年齢層におけるHPV感染の有病率、伝播、自然史を理解し、HPVに対する母親のワクチン接種の役割を決定する上で貴重であろう。本研究では、イラン人小児における生後1~5年の口腔内HPVの有病率と遺伝子型を初めて明らかにすることを目的とした。
方法:本研究はイランのパスツール研究所で実施した。5歳以下の集団と母親のサブセットの頬検体を調査した。DNA抽出を行い、Real-Time PCRを行ってHPV感染の特徴を調べた。陽性検体はハイブリダイゼーションアッセイにより再評価された。
結果:本研究には生後3日から5歳までの201人の小児が登録され、そのうち16人がHPV陽性で7.9%(n=16)であった。HPV16型とHPV18型がそれぞれ50%と37.5%を占め、次いでHPV31型、HPV35型、HPV39型、HPV56型であった。7人の小児で複数のHPV感染が検出され、そのうちの71.4%でHPV16が優勢であった。口腔検体を提供した母親のサブグループでは、HPV陽性率は9.5%で、HPV18が最も多く、次いでHPV16、HPV82、HPV35、HPV11であった。さらに、母親がHPV陽性であった場合、小児の感染リスクが有意に高かった(p<0.001;OR=165)。母親と子供のHPV遺伝子型は完全には一致しなかった。さらに、分娩の種類と子供のHPV陽性に関して有意差が観察された(p<0.001)。
結論:今回の調査から、イランの小児では早期から口腔内HPV感染がよくみられることが示された。多発性HPV感染とHPV16の高い有病率は、未知の結果をもたらす問題である。母親と子供の間でHPV型が完全に一致していないことは、水平伝播の可能性を強調している。口腔内のHPV、特に発癌性型のHPVを検出することは、将来、スクリーニング検査や政策設定の根拠となる可能性がある。さらに、得られた結果は、母親から子供へのHPV感染率を減少させるためのHPVワクチン接種プログラムを強調するものである。
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