サウジアラビアにおける1990年から2021年までの下気道感染症の死亡率、原因、および危険因子の動向:2021年グローバル疾病負担研究の結果。
DOI:10.1186/s41043-025-00882-7
アブストラクト
背景:下気道感染症(LRIs)は、世界中で4番目に多い死亡原因であり、すべての年齢層に影響を及ぼし、年間200万人以上の死亡を引き起こしています。サウジアラビアでは、LRIsが年間人口の15%以上に影響を及ぼす重大な負担となっています。本研究の目的は、1990年から2021年までのサウジアラビアにおけるLRIsの死亡率、原因、およびリスク要因の概要を提供することです。
方法: サウジアラビアにおける1990年から2021年までのLRIs死亡に関するデータは、2021年版の「Global Burden of Disease(GBD)Result Tool」から抽出されました。分析はすべての年齢層の死亡率を対象とし、特に5歳未満の子供と70歳以上の成人に焦点を当てました。主要な4つの原因(インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、肺炎球菌、ヒブ(Haemophilus influenzae type b))と、14の関連するリスク要因を分析しました。結果: サウジアラビアにおけるLRI死亡総数は1990年から2021年にかけて6%減少しました。特に5歳未満の子供では96%の顕著な減少が観察されました。一方、70歳以上の成人におけるLRI死亡率は同じ期間に16%増加しました。年齢調整死亡率は47%減少しましたが、肺炎球菌とRSVに関連する死亡率の顕著な減少が見られました。しかし、喫煙や大気中の微小粒子物質汚染などのリスク要因は、高齢者において死亡率の減少が最小限または増加傾向を示しました。
結論:過去30年間、サウジアラビアはLRI死亡率の削減において著しい進展を遂げ、特に5歳未満の子供において顕著な成果を挙げました。しかし、高齢者の死亡率増加は、彼らの特有の脆弱性に対応した対象を絞った介入の必要性を浮き彫りにしています。公衆衛生インフラの強化、ワクチン接種率の向上、環境保健施策への継続的な投資は、サウジアラビアにおけるLRIの負担をさらに軽減するために不可欠です。
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