ADRB2遺伝子型に基づく小児喘息の治療法:PUFFIN試験とPACT試験のコスト分析。
DOI:10.1111/pai.70113
アブストラクト
背景:長時間作用型β2刺激薬(LABA)は、喘息の治療に広く使用されています。一部の子供はLABAに十分な効果を示さない場合があり、これはβ2受容体をコードするADRB2遺伝子における+46G>A-/rs1042713(Arg16アミノ酸)変異が原因である可能性があります。吸入コルチコステロイド(ICS)を服用しても喘息がコントロールできない小児において、ADRB2遺伝子型(Arg16Gly)を基にした治療ステップアップの決定は、喘息の悪化を減少させることが示されています。本研究では、ADRB2遺伝子型に基づく治療がコスト削減に有効かどうかを調査しました。
方法:PUFFIN試験のデータを用いて、発作の有無にかかわらず、小児の半年間の医療費と間接費用を算出しました。オランダとスイスの102人の小児を、遺伝子型に基づく治療群(Gly16Gly遺伝子型にはLABAを追加、Arg16Arg/Arg16Gly遺伝子型にはICSの倍量投与)と対照群(LABAまたはICSの倍量投与に再ランダム化)にランダムに割り当てました。PUFFINとPACT試験の増悪率を用いて、各治療群の喘息関連医療費を算出しました。これは、PACTがPUFFINのデザインに類似しているためです。PACT試験では、イングランドとスコットランドのコントロール不能な喘息を有する91人の小児を、遺伝子型に基づく治療群(LABA [Gly16Gly]またはモンテルカスト [Arg16Arg/Arg16Gly])または対照群(英国胸部学会ガイドラインに基づく標準治療)にランダム化しました。
結果:全体的な半年間平均医療費は、遺伝子型に基づく治療群で対照群に比べて€56.24低かった(€771.07 [範囲€616.86-€925.28、90人のうち23人が発作を経験] と€827.31 [範囲 €661.85-€992.77、103人のうち40人が増悪を経験])でした。結論:ADRB2遺伝子型に基づく治療を含む治療戦略は、通常のケアと比較してコスト削減の可能性を有します。喘息の増悪減少に伴う医療費の削減は、遺伝子型解析に要する費用を十分に相殺します。
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