フェニルケトン尿症の新生児スクリーニング検査で陽性反応を示した1,103例の乳児を対象とした単一施設における包括的分析。
DOI:10.24953/turkjpediatr.2025.5263
アブストラクト
目的:フェニルケトン尿症(PKU)は、PAH遺伝子における両アレル病原性変異に起因する一般的な遺伝性代謝障害です。本研究では、PKUの陽性新生児スクリーニング(NBS)検査結果により単一施設に紹介された1,103例の乳児の臨床的特徴を評価し、スクリーニングと診断に関する知見を提供することを目的としました。
方法:2016年1月から2023年1月までの期間に、トルコの全国新生児スクリーニングプログラムを通じてPKUの疑いで単一の中央医療機関に紹介された乳児の医療記録を、後方視的にレビューしました。研究では、病院記録から人口統計データ、臨床所見、診断結果を分析しました。ロジスティック回帰分析により、入院時の年齢の有意な予測因子を同定しました。
結果:本研究は、トルコ国内においてDBSの収集、結果報告、入院年齢に地域差が存在することを示しました。入院年齢の遅延(中央値、[Q1-Q3])は、東アナトリア地域(34日 [27-42])、東南アナトリア地域 [34日 (25-42)]、黒海地域 [26日 (19-33)] で顕著でした。紹介された乳児のうち、5.1%と2.4%が一時的なチロシン血症と一時的なフェニルアラニン血症をそれぞれ有し、これらの暫定的な状態は黄疸の既往歴を有する新生児でより頻度が高かったです。フェニルアラニン濃度は患者の38.1%で正常であり、偽陽性と判断されました。90日以降に入院した26例(2.36%)の患者(遅延入院)のうち、未治療のフェニルアラニン濃度>20 mg/dLのPKU患者が2例(n=2)いました。治療を要した140例の乳児のうち、遅延入院(>90日)は1.43%(n=2)でした。家族歴のPKUと初期のフェニルアラニン濃度が高いことが、早期入院と関連していました。
結論:この包括的な分析は、特に遅延が確認されている地域においてNBSプログラムの強化が必要であることを強調しています。医療インフラの整備、意識向上、対象を絞った健康政策の実施は、早期診断と治療の実現に不可欠です。今後の研究では、地域間の格差を解消し、スクリーニングプロトコルの最適化を通じて、影響を受ける乳児の予後を改善することが重要です。
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