ギリシャの思春期における自己傷害行為:精神保健問題とCOVID-19トラウマの役割。
DOI:10.1186/s12888-025-07040-7
アブストラクト
背景:思春期の自己傷害行為(SIB)は、感情調節障害、行動上の課題、自殺リスクの増加と関連する深刻な公衆衛生上の問題です。これまでの研究は主に対人トラウマに焦点を当ててきましたが、COVID-19パンデミックのような非対人トラウマ的出来事の影響は依然として明確ではありません。
方法: グローバル・チャイルド・アンド・アドレッセント・メンタルヘルス・スタディ(Global Child and Adolescent Mental Health Study)の非臨床サンプルであるギリシャの思春期青少年5,612名(女性55.4%;平均年齢=13.42±0.96歳)を対象に、SIB、メンタルヘルス上の困難、およびCOVID-19関連トラウマストレスとの関連性を調査しました。参加者は、感情症状、行動問題、多動性、同年代との困難を評価する「Strengths and Difficulties Questionnaire(SDQ)」と、外傷後ストレス症状を評価する「Children's Revised Impact of Event Scale-8(CRIES-8)」を回答しました。SIBは自己報告により評価され、COVID-19関連経験(例:隔離、入院)は、自殺念慮と自殺未遂の測定項目と共に記録されました。
結果:全体として、14.24%(n=1,424)の青少年がSIBを報告し、28.1%(n=1,566)が自殺念慮を認め、8.4%(n=471)が自殺未遂を経験していました。SIBを報告した青少年は、報告しなかった青少年(M=11.22 [SD=5.40])に比べて、SDQの総得点(M=17.47 [SD=5.82])が有意に高かったです(p<0.001)。ロジスティック回帰分析において、感情症状(OR=1.17、95% CI [1.12, 1.21])、行動問題(OR=1.17、95% CI [1.12, 1.23])、および友人関係の問題(OR=1.08、95% CI [1.03, 1.15])の1ポイント増加、および利他的な行動の1点増加(オッズ比=0.92、95%信頼区間 [0.88, 0.96])は、SIBの発生リスクを有意に高めました。さらに、CRIES-8における侵入症状の重症度は、SIBのリスクを軽度に関連していました(オッズ比=1.03、95%信頼区間 [1.01, 1.05])。COVID-19関連経験のうち、COVID-19による個人入院はSIBを予測しました(オッズ比=1.26、95%信頼区間 [1.04, 1.53])。さらに、女性(オッズ比=2.33、95%信頼区間[2.04, 2.63])、自殺念慮(オッズ比=4.82、95%信頼区間[4.09, 5.69])、および自殺未遂の既往歴(オッズ比=5.08、95%信頼区間[3.77, 6.83])がリスクをさらに高めました。
結論:本研究の結果は、思春期におけるSIBの発生において、メンタルヘルス上の困難とトラウマ関連ストレスの多面的な相互作用を明らかにしました。これらのデータは、特に直接的で重度のCOVID-19経験を有する若年層において、感情調節障害とトラウマ特異的症状の両方に焦点を当てた早期発見と対象を絞った介入の重要性を強調しています。これにより、SIBとその関連リスクを軽減することが可能です。
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