COVID-19ワクチン有効性研究における健康な接種者の効果の評価:カタールにおける全国コホート研究。
DOI:10.7554/eLife.103690
アブストラクト
背景:本研究では、2つの厳格に実施されたCOVID-19ワクチン有効性研究(基礎接種とブースター接種を含む)において、健康なワクチン接種者効果(ワクチン接種者と非接種者間の健康状態の偏り)の存在を調査しました。また、カタールにおけるCOVID-19ワクチン接種と非COVID-19死亡との関連性を分析することで、この効果の時間的パターンとサブ集団間の変動を調べました。
方法:2つのマッチングされた後ろ向きコホート研究において、2021年1月5日から2024年4月9日の期間に、全国規模のコホートを対象に、基礎接種を受けた群と未接種群(2回接種分析)および3回接種(ブースター接種)を受けた群と基礎接種を受けた群(3回接種分析)における非COVID-19死亡の発生率を評価しました。
結果:調整ハザード比(aHR)は、2回接種分析で0.76(95% CI:0.64-0.90)、3回接種分析で0.85(95% CI:0.67-1.07)でした。2回接種分析の追跡開始後6ヶ月間では、aHRは0.35(95% CI:0.27-0.46)でしたが、その後のすべての期間を合わせた分析ではaHRは1.52(95% CI:1.19-1.94)でした。3回接種分析における追跡調査の最初の6ヶ月間では、aHRは0.31(95% CI: 0.20-0.50)でした。しかし、その後のすべての期間を合わせた分析では、aHRは1.37(95% CI: 1.02-1.85)でした。一次接種シリーズと3回目接種の重症、重篤、または致死的なCOVID-19に対する全体的な有効性は、それぞれ95.9%(95% CI: 94.0-97.1)と34.1%(95% CI: -46.4-76.7)でした。サブグループ解析では、50歳以上の年齢層および重症COVID-19に臨床的に脆弱な集団において、健康な接種者効果(Healthy Vaccinee Effect)が顕著に認められました。結論:接種後6ヶ月間において、厳格なコホートマッチングにもかかわらず、健康な接種者効果が顕著に観察されました。この効果は、重症患者や終末期の個人、移動が制限された高齢者の接種率が低かったことに起因する可能性があります。
資金提供: ウェイル・コーネル・メディシン・カタール、カタール大学、カタール保健省、ハマド医療コーポレーション、シドラ・メディシン、カタールゲノムプログラム、カタール大学バイオメディカル研究センター、およびロレアル-ユネスコ「女性科学者支援プログラム」中東地域若手人材育成プログラム。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。