2019年から2023年までの子どもと若年層における自傷行為の発生率:イングランド・グレートマンチェスターにおける電子健康記録の時系列分析。
DOI:10.1136/bmjment-2025-301615
アブストラクト
背景:近年、子どものメンタルヘルスが低下しています。自己傷害は、この心理的苦痛の表れとして頻繁にみられます。
目的:2019年1月から2023年12月までの10~24歳における自傷行為の発生率の動向を分析すること。方法:グレート・マンチェスター・ケア・レコードを用いて、10~24歳における自傷行為の全発生事例を対象に時系列分析を実施しました。観察期間は、以下の4つのフェーズに分割しました:パンデミック前(2019年1月~2020年2月)、パンデミック第1期(2020年3月~2021年6月)、パンデミック第2期(2021年7月~2022年12月)、パンデミック後(2023年1月~2023年12月)。性別、年齢、民族、および複数指標による貧困指数(Indices of Multiple Deprivation)別の発生率比は、負の二項回帰分析を用いてモデル化されました。
結果:パンデミック後段階では、パンデミック前期間と比較して自傷行為の発生率が有意に減少しました(男性発生率比(IRR)0.72;95% CI 0.62~0.84、女性 IRR 0.85;95% CI 0.74~0.99)。女性では、パンデミック第2相で発生率が18%増加した後(IRR 1.18;95% CI 1.04~1.34)、その後減少しました。男性では、研究期間中を通じて発生率が減少しました。発生率は10~12歳が最も低かったです。しかし、この年齢層で最も大きな増加が観察され、パンデミック第2相における発生率は女性ではパンデミック前と比べてほぼ2倍でした(IRR 1.91;95% CI 1.47~2.48)。女性の発生率の変化は、最も貧困度の低い地域で最も顕著で、パンデミック第2相において50%以上増加しました(IRR 1.54;95% CI 1.21~1.95)。
結論: 当社の結果は、2023年に自傷行為の発生率が減少したことを示しています。年齢層別分析では、10~12歳層で最も大きな増加が観察されました。これらの結果を確認し、これらの傾向を駆動するメカニズムを特定するためには、さらなる研究が必要です。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。