炎症性腸疾患における食事療法と経口栄養補助療法:現在のエビデンスと今後の展望。
DOI:10.3390/nu17111879
アブストラクト
背景:炎症性腸疾患(IBD)の治療において、栄養管理は不可欠な要素となり、薬物療法と並行して特定の食事療法の有効性を示す証拠が蓄積されています。しかし、研究デザインの多様性と評価指標のばらつきにより、臨床的な指針は依然として断片化されています。
目的:本レビューでは、クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)における食事戦略と経口栄養補助療法(ONS)に関する現在の証拠を批判的に検討し、その臨床応用、作用機序、および限界を明らかにします。方法:PubMed、Scopus、Web of Scienceデータベースを用いて包括的な文献検索を実施し、IBDにおける多様な食事アプローチとONSに関する研究を分析しました。
結果:小児CDにおける第一選択療法として完全経腸栄養(EEN)が推奨される一方、部分経腸栄養(PEN)とクローン病除外食(CDED)は、小児と成人双方において有望な有効性とより良い順守率を示しています。地中海食、特定炭水化物食、植物性食、CD-TREATやTasty & Healthy食などの新興戦略を含む全食品ベースの介入は、疾患維持と症状コントロールにおいて多様な効果を示しています。低FODMAP食、低乳化剤食、低硫黄食などの標的排除食は、機能性症状の緩和や炎症活動に影響を与える可能性がありますが、証拠は依然として限定的です。経口栄養サポート(ONS)は、周術期および入院患者における栄養不良の改善と予後向上に重要な役割を果たしています。結論:食事療法とONSは、IBD管理における貴重な治療ツールです。今後の研究では、統合的なケアパスウェイにおける役割を明確にするため、標準化され、十分なサンプルサイズを有する臨床試験と個人に合わせた栄養アプローチを優先すべきです。
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