放射線治療を施行していないムコ多糖症患者における造血幹細胞移植の長期予後。
DOI:10.1111/ctr.70188
アブストラクト
目的:ムコ多糖症(MPS)は、グリコサミノグリカン(GAG)のエンドグリコシダーゼおよびエクソグリコシダーゼの機能障害により、GAGの蓄積を引き起こす遺伝性リソソーム貯蔵障害(LSD)のサブカテゴリーです。酵素置換療法(ERT)の限界と課題のため、一部のMPSサブタイプではHSCTが唯一の標準的な根治的治療法とされています。
方法:2016年9月から2023年12月までの期間に、HSCTの適応があるMPSのI型、II型、VI型の患者を対象とした横断研究を実施しました。全患者に放射線を使用しない骨髄破壊的条件調整(MAC)レジメンを投与しました。
結果:本研究において、全患者の全生存率(OS)は75.3%でした。MPSの亜型別にみると、MPS-I、II、VIの患者におけるOS率はそれぞれ71.6%、62.5%、81.3%でした。PBドナー細胞を用いた移植失敗は認められず、生存患者はすべてHSCT後1年で正常な酵素活性を達成しました。成長パラメーターを考慮すると、MPS I患者はMPS VI患者よりもHSCTからより大きな恩恵を受けることが示されました。しかし、MPS VI患者はより良いOSを示しました。結論:異なるMPS亜型におけるHSCTのアウトカムを比較するデータは限られており、MPS VI患者におけるHSCTのアウトカムは主に症例報告に限定されています。HSCT後の合併症を軽減するため、すべての患者において放射線不含の条件調整療法を検討すべきです。
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