CHD3遺伝子に関連する報告されていないてんかんの一種である乳児けいれん:症例報告。
DOI:10.1097/MD.0000000000042801
アブストラクト
理由:CHD3遺伝子によってコードされるCHD3タンパク質は、CHDファミリーの第2亜家族に属します。このタンパク質は脳に高発現し、主に発達中の皮質に存在します。その機能は、遅発性神経細胞の移動と皮質の形成を促進することです。これまで、CHD3遺伝子変異がてんかんを引き起こす例は稀であり、1例のみが報告されています。この変異は、デコンボリューション酵素のC末端領域に位置するミスセンス変異です。しかし、現在までにCHD3遺伝子の変異が乳児けいれん(IS)を引き起こすことは報告されていません。本研究では、神経発達障害を伴うIS患者において全エクソームシーケンス(WES)を実施しました。この研究は、CHD3がISの潜在的な原因遺伝子候補である可能性を示唆しています。
患者の状況: 頻回なけいれんの詳細な評価のため、当院に入院しました。患者は異常な脳波検査結果と脳MRI所見を呈し、発達遅延を伴っていました。診断: トリオWESを用いた遺伝学的研究により、CHD3関連ISの診断が確定しました。
介入:患者は抗てんかん薬の治療を受けました。1人の患者は、副腎皮質刺激ホルモンとトピラマートの併用でてんかん発作の寛解を認めました。結果:全エクソームシーケンス技術を用いて、IS患児の病因を特定しました。患者はてんかん発作が消失し、追跡脳波検査での発作が減少しました。
教訓:本研究は、異常な脳波所見と脳磁気共鳴画像所見、発達遅延を呈する小児の診断において、遺伝学的検査が基盤となることを確認しました。また、将来の表現型・遺伝子型相関研究を支援するデータを提供しました。CHD3遺伝子はISの新たな遺伝子である可能性があり、てんかんを伴わない神経発達障害のみを呈する小児においても、CHD3遺伝子変異の保有可能性を考慮すべきです。
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