モノラウリンは、アトピー性皮膚炎患者における抗生物質耐性黄色ブドウ球菌の増殖を抑制します。
DOI:10.1038/s41598-025-05667-w
アブストラクト
抗生物質の頻繁な使用は、アトピー性皮膚炎(AD)における抗菌薬耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)の発生率を増加させ、新たな治療法の探索を促しています。モノラウリンはココナッツオイルに含まれる化学的副産物で、抗菌作用を有しています。本研究では、モノラウリンが抗菌薬耐性S. aureusに対する抑制効果を調査することを目的としました。ADと診断された30人の小児と30人の成人を募集し、病変部、非病変部、鼻粘膜の3つの部位から拭き取り検体を採取しました。メチシリン耐性(mecA PCR)と高レベルムピロシン耐性(mupA PCR)はそれぞれメチシリン耐性遺伝子とムピロシン耐性遺伝子で同定され、フシジン酸耐性はfusA遺伝子シーケンシングで検出されました。モノラウリンの感受性試験にはブロス微量希釈法、細胞毒性試験にはテトラゾリウムブロミド法が使用されました。ADを有する小児と成人の病変からS. aureusが頻繁に分離されました。小児群では、mecAを保有するメチシリン耐性S. aureus(MRSA)1株、mupAを保有するムピロシン耐性S. aureus 1株、およびfusAに新規点変異を有するフシダ酸耐性S. aureus 4株が検出されました。インシリコ分子ドッキング解析により、これらの変異株はフシジン酸との相互作用が弱く、薬剤耐性のメカニズムを説明しました。モノラウリンは、培養された表皮細胞および真皮細胞に対して細胞毒性を示さずに、これらの抗菌薬耐性S. aureus分離株を最小抑制濃度2 µg/mLで抑制しました。これらのデータは、モノラウリンがAD患者における抗菌薬耐性S. aureusの抑制に潜在的に有用である可能性を示しています。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。