中国における食中毒監視システムに報告された非チフス性サルモネラ感染症の疫学的特徴(2013年~2022年)
DOI:10.1186/s12889-025-23439-z
アブストラクト
背景: 非チフス性サルモネラ(NTS)は、中国で最も多く報告される食中毒による消化器感染症であり、食中毒による細菌性集団発生の主要な原因のトップ3にランクインしています。方法:本研究では、2013年から2022年までの中国食中毒監視システム(Foodborne Disease Surveillance System)のNTSデータを分析し、疫学的特徴をまとめ、報告率の変化を評価しました。ジョインポイント回帰モデルを用いて、NTSの報告率、性別別報告率、および都市部・農村部別報告率の年間百分率変化を算出しました。ピアソン相関係数を用いて、NTSの報告率と全国一人当たり主要食品の消費量およびCOVID-19の症例数との相関関係を評価しました。
結果:この期間中、55,266件のNTS症例が報告され、報告率は有意に増加しました(AAPC [CRR]=21.89%)。都市部では症例の70.06%を占めましたが、農村部の患者は都市部よりも入院率が高かったです(41.54%対33.69%、p<0.001)。0~4歳の小児が症例の53.59%を占め、入院率も高かったです(p<0.05)。主要な血清型はサルモネラ・チフスムリウム(31.07%)とエンテリティディス(15.89%)でした。NTSの報告率は、全国の人口1人当たり消費量と強く相関していました(果物:r=0.98、家禽:r=0.95、水産物:r=0.95、卵:r=0.94、野菜:r=0.79、乳製品:r=0.73、肉:r=0.65)。
結論:本研究は、中国におけるサルモネラ感染症の公衆衛生上の負担が拡大していることを示しており、報告率の急増と都市部と農村部との顕著な差が明らかになりました。症例の過半数が5歳未満の子供であり、特に脆弱な層を対象とした食品安全対策の強化が急務であることが強調されています。
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