骨形成不全症または重症血友病の入院に先行する児童身体虐待による入院:フランスにおける全国コホート研究
DOI:10.1016/j.chiabu.2025.107581
アブストラクト
背景:早期小児身体虐待(CPA)の再発防止と被害者保護には、迅速かつ正確な診断が不可欠である。CPAの誤診を避けるため、鑑別診断の除外も重要である。本研究では、CPAの2大鑑別診断である骨形成不全症(OI)および重症血友病(SH)の入院前に、早期CPAによる入院リスクを評価した。
方法: 本人口ベースコホート研究では、フランスの全病院を網羅する全国行政データベースを用いた。2010年から2019年に生まれた乳児を2歳まで追跡した。早期CPA、OI、SHの初回退院コードを有する乳児を同定し、粗絶対リスクおよび相対リスクを算出した。
結果:対象乳児6,315,216人のうち、2歳未満で早期CPAによる入院は2088例(年間乳児10万人当たり33例)、OIによる入院は160例(同3例)、SHによる入院は402例(同6例)であった。早期CPAで入院した乳児のうち、2085例(99.86%)はOIまたはSHによる追加入院がなく、3例(0.14%)はOIによる追加入院(入院間隔中央値9ヶ月)があり、SHによる追加入院は0例であった。OI入院前の早期CPAによる入院の絶対リスクは1.9%(3/160、95%信頼区間[CI]0.39-5.38)であり、OI入院歴のない乳児と比較した相対リスクは56.8(95%CI 18.5-174.3)であった。
結論:OIまたはSH入院前の早期CPAによる入院の絶対リスクが極めて低い(あるいは皆無)であることは、鑑別診断を除外する現在の優れた臨床実践を反映していると考えられる。既存ガイドラインのより適切な実施により、2歳未満でのOI診断までの期間をさらに短縮できる可能性がある。
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