遺伝子治療後の脊髄性筋萎縮症における累積運動指数:ベースラインが最大回復度を予測する。
DOI:10.1016/j.clinph.2025.2110987
アブストラクト
目的:遺伝子治療(GT)後の症候性早期発症脊髄性筋萎縮症(SMA)患者において、複合筋活動電位(CMAP)振幅の増大は運動発達段階の獲得と関連する。本研究は、これらの患者における36ヶ月間のCMAP振幅の推移を予測するモデルを提案することを目的とした。
方法:19例のSMA患者(平均年齢8.5ヶ月;SMN2コピー数2の患者12例、3の患者7例)を対象に、運動機能スコアとCMAP振幅(正中神経、尺骨神経、腓骨神経、脛骨神経)を前向きに評価した。累積運動指数(CMI:CMAP振幅の合計値)を算出した。
結果:遺伝子治療後、CMAP振幅とCMIは有意に増加(p<0.05)したが、24ヶ月後に低病理値で頭打ちとなった。SMN2コピー2本保有患者では頭打ちが早期に発生し、ピーク値も低く、臨床的運動機能の頭打ちとも相関した。 これらの患者では、ベースラインCMIが36ヶ月時点の最大停滞値を強く予測した(CMI=2.67×CMI+1.92; R = 0.97)。SMN2コピー数3の患者では、ベースラインCMIに関わらず約10mVで停滞した(R = 0.70)。
結論: ベースラインのCMI値は、SMN2コピー数とともに、GT後の最大値の強力な予測因子として明らかになった。意義: これらの結果は、最適な患者選択と治療管理の指針としてのCMIの妥当性を裏付けるものである。
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