遅発性ポンペ病の新生児スクリーニングにおける感情的・実践的課題への対応:親の視点からの考察
DOI:10.1016/j.pediatrneurol.2025.08.003
アブストラクト
ポンペ病(PD)は常染色体劣性遺伝性のリソソーム病であり、筋細胞内にグリコーゲンが蓄積することで進行性の筋力低下と呼吸不全を引き起こす。新生児スクリーニング(NBS)は早期診断と酵素補充療法による介入を可能にし、乳児期発症型PDの予後を改善している。 NBSはまた、小児期発症型PD(LOPD)症例も同定する。LOPDでは患児の臨床像は多岐にわたり、何年も無症状のまま経過する場合があり、家族は「待機患者」として不確実な状況に置かれる。本研究は、NBSによるLOPD診断後の親の体験を探求し、支援システムの不足を特定し、ケア提供の改善を図るものである。 NBSでLOPDと診断された42人の子どもの親を対象に、診断体験、医療アクセス、不安、医療従事者(HCP)の役割に関する調査を実施した。回答は記述統計、テーマ分析、Kruskal-Wallis検定を用いて分析した。 保護者はNBS結果受領時に明確なガイダンスと疾患特異的情報を重視した。しかし多くの保護者が支援不足や医療従事者のLOPD知識不足を報告。約70.7%はLOPD診断後に不安が軽減したと回答(知識増加・支援的な医療チーム・子どもの安定した健康状態が要因)したが、不確実性は残存。 医療従事者を受診した対象者の71.9%は理解の深化やメンタルヘルス支援など肯定的影響を報告したが、19%は提供されたカウンセリングや情報に明確さや実践可能なリソースが欠如していると感じた。知識豊富な医療従事者とのタイムリーなコミュニケーションと多職種による支援は、NBS陽性結果を受けた家族の心理社会的負担軽減に寄与しうる。一貫した思いやりのあるケアを確保するため、医療従事者向けリソースの拡充とコミュニケーション改善を優先すべきである。
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