重症A型血友病治療におけるバロクトコゲン・ロクサパルボベックとエファネソクトコグ・アルファの比較有効性:出血頻度に関するマッチング調整間接比較
DOI:10.1007/s12325-025-03339-9
アブストラクト
はじめに:血友病AはX連鎖劣性遺伝性の出血性疾患であり、第VIII因子(FVIII)活性の低下を特徴とする。自然出血のリスクにより、血友病Aは患者の生活の質に重大な影響を及ぼす。血友病Aの治療は出血の発生予防を目的とする。 血友病治療における遺伝子治療の革新は、単回投与で数年にわたり内因性FVIII産生を維持することで、予防的治療に取って代わる可能性を秘めている。本解析では、遺伝子治療であるバロクトコゲン・ロクサパルボベックと、予防的FVIII補充療法であるエファネソクトコグ・アルファとの比較有効性を評価した。これは、これらの治療法間の比較エビデンスが現在不足していることを踏まえたものである。
方法:バロクトコゲン・ロクサパルボベックとエファネソクトコグ・アルファの比較は、マッチング調整間接比較(MAIC)を用いて実施した。バロクトコゲン・ロクサパルボベックの第III相GENEr8-1試験の患者レベルデータを、エファネソクトコグ・アルファの第III相XTEND-1試験の集計レベルデータのベースライン特性に一致させるよう再加重した。 マッチング変数には、治療対象出血がゼロであった患者の割合および治療開始前の治療対象出血の平均年間出血率(ABR)が含まれた。再加重後、52週間後の出血ゼロ患者割合ならびに平均ABRを比較した。各集団において、治療対象出血、治療対象関節出血、治療対象自然出血について評価を行った。
結果:MAIC重み付け後、バロクトコゲン・ロクサパルボベック投与群はエファネソクトコグ・アルファ投与群と比較し、治療対象出血ゼロの確率(オッズ比 2.68、95% CI 1.18-6.14)および治療対象関節出血ゼロの確率(オッズ比 2.75、95% CI 1.09-6.86)が有意に高かった。 自然出血の治療件数がゼロとなるオッズもバロクトコゲン・ロクサパルボベック群で高かったが、統計的有意差は認められなかった。治療対象となった出血、関節出血、自然出血の平均治療件数(ABR)は両群で類似しており、統計的有意差は認められなかった。
結論:本MAICは、治療開始後1年間において、エファネソクトコグアルファと比較して、バロクトコゲンロクサパルボベックが治療対象となった出血がゼロとなる可能性が高いことを示唆している。
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