脳性麻痺児における股関節脱臼および亜脱臼の有病率:サハラ以南アフリカ諸国における施設ベース横断研究
DOI:10.1186/s12887-025-06276-2
アブストラクト
背景:脳性麻痺(CP)児における股関節脱臼は、疼痛や重度の拘縮を伴い、体位保持・座位・立位・歩行を妨げる重大な課題である。本研究は、専用の股関節監視プログラムがない資源制約環境下におけるCP児コホートを対象に、股関節変位の有病率および関連要因を調査した。
方法: エチオピア最大の三次医療機関であるティクル・アンベサ病院において、2023年8月1日から2024年1月30日まで横断研究を実施した。対象は、選択基準を満たし股関節X線検査を受けたCP児141例とした。 股関節変位率を評価し、30~80%を亜脱臼、80%超を脱臼と定義した。変位率と社会人口統計学的・臨床的データとの関連を統計的検定で分析した。
結果:対象患児の大半は痙性四肢麻痺型CP(56.7%)であり、52.6%がGMFCSレベルIVおよびVに分類された。併存疾患率が高く、患児の98%に追加疾患が認められ、最も頻度が高かったのはてんかん(59%)であった。 股関節変位の有病率は28%で、このうち88%が亜脱臼、約11%が脱臼と分類された。変位は右股関節または両股関節よりも左股関節(56.4%)でより多く認められた。骨減少症は患児の3.5%に認められた。 股関節変位に関連する因子として、在宅リハビリテーションの実施、介護者による抱き上げ頻度、GMFCSレベル、5~10歳であることが挙げられた。
結論:本研究は、三次医療機関で管理されているにもかかわらず、資源が限られた環境下におけるCP児の股関節変位の顕著な有病率を浮き彫りにした。この知見は、股関節監視プログラムの実施と、股関節変位の予防または軽減のためのタイムリーな介入の必要性を強調しており、それによってこれらの小児の生活の質と機能的転帰を向上させることができる。
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