英国における新生児脳室内出血後の内視鏡的洗浄(ENLIVEN-UK):全国ランダム化比較試験の研究プロトコル
DOI:10.1186/s13063-025-08952-1
アブストラクト
背景:脳室内出血(IVH)は早産児に頻発する重篤な合併症であり、英国では年間約500名の新生児が罹患する。IVH患児の50%以上が脳室拡大(PHVD)を発症し、これは長期的な神経発達障害と関連している。 現在の治療戦略には、脳室アクセスメディカルデバイス(VAD)や脳室皮質下シャント(VSGS)などの選択肢による一時的な脳脊髄液(CSF)分流が用いられる。神経内視鏡洗浄術(NEL)は、脳室内血液とその分解産物の負荷を直接軽減し、二次的な脳損傷のリスクを低減する可能性を秘めた新たな技術である。 ENLIVEN-UK試験は、標準的な一時的装置留置にNELを追加した場合、単独の一時的装置留置と比較して、修正年齢2歳時点の神経発達アウトカムが改善するかどうかを評価することを目的としている。
方法:ENLIVEN-UKは、英国小児脳神経外科センターにおいて重度のIVHおよびPHVDを有する早産児100例を登録対象とする、全国規模の多施設共同、並行群間比較、評価者盲検化、優越性を検証するランダム化比較試験(RCT)である。乳児は1:1の比率で、標準的な一時的装置留置のみ、または一時的装置留置に加えてNELを受ける群に無作為に割り付けられる。 無作為化は安全なオンラインシステム(Sealed Envelope)を用いて実施され、アウトカム評価者と統計担当者は治療割付を盲検化する。主要評価項目は、修正年齢2歳時点の認知指数(CQ)とし、ベイリー乳幼児発達尺度(第4版、Bayley-IV)を用いて評価する。 副次的評価項目には、運動・言語発達、脳室腹腔シャント(VPシャント)による恒久的髄液分流術の必要性、手術合併症、健康関連QOL(EQ-5D-5L、TAPQOL)、医療費が含まれる。
考察:本研究は、IVHおよびPHVDを有する早産児におけるNELの有効性と安全性に関するレベル1エビデンスを提供することを目的とする。成功すれば、本試験はこの患者群における標準治療を変更し、長期的な神経発達アウトカムを改善する可能性を秘めている。試験登録:ISRCTN試験登録:ISRCTN14018410。
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