COVID-19による小児の脳死の症例報告と文献レビュー。
DOI:10.1186/s12879-025-11058-3
アブストラクト
目的:COVID-19は一般的に呼吸器症状を呈するが、小児では重篤な神経学的症状を引き起こすこともある。COVID-19に関連した脳症(急性壊死性脳症を含む)の症例報告が増えてきているが、急速に神経学的低下をきたした小児に対する最適な管理戦略や転帰予測因子については、まだギャップが残っている。本報告は、重症の小児COVID-19関連脳症に対する標準化された臨床的アプローチの必要性を強調することを目的としている。
方法:この症例報告では、発熱、発疹、頭痛、再発性痙攣を呈した8歳女児の症例について詳述する。診断にはSARS-CoV-2のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査と、構造的変化を評価する造影CT、頭蓋内血行動態を評価する経頭蓋ドップラー超音波検査、電気活動をモニターする脳波検査などの神経学的検査が行われた。機械的換気、血行動態のサポート、抗菌薬、副腎皮質ステロイドを含む集中的な治療が開始された。さらに、小児COVID-19に関連した神経学的合併症の文献レビューを行い、本発表の背景を説明した。
結果:患者はCOVID-19陽性であり、画像診断で脳浮腫が確認され、脳波で脳死が示唆された。積極的なクリティカルケア介入にもかかわらず、患者の状態は改善せず、最終的に脳死に至った。最新の文献を調査したところ、小児COVID-19による急性壊死性脳症の報告例がいくつかあり、重篤な中枢神経系後遺症の可能性に関するエビデンスが増加していることが明らかになった。
結論:この症例は、COVID-19小児患者における早期発見と綿密な神経学的監視の重要性を強調している。急性壊死性脳症のようなCOVID-19に関連した神経学的合併症に関するエビデンスは蓄積されつつあるが、決定的な治療プロトコールや長期的転帰については不明確な点が多い。この脆弱な集団の予後を改善するためには、基礎となる機序のさらなる理解と標準化された管理経路が不可欠である。
臨床試験:該当なし。
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