小児の歯科医療サービスへのアクセス:COVID-19の影響と将来のケアモデルへの示唆に関するスコーピングレビュー。
DOI:10.1136/bmjopen-2024-097256
アブストラクト
背景:COVID-19のパンデミックは、各国がSARS-CoV-2の伝播を抑制するために公衆衛生対策を広範に実施したため、日常的な医療や社会的ケアに悪影響を及ぼした。これは、多くの慢性疾患や非感染性疾患のケア提供に影響を及ぼし、その中には、流行後の期間に影響を及ぼす口腔保健や歯科疾患も含まれていた。
目的:本スクーピングレビューは、Preferred Reporting Items for Systematic reviews and Meta-Analyses for Scoping Reviewガイドラインに従って実施され、COVID-19が小児の歯科医療サービスへのアクセスに及ぼす影響に関するエビデンスを統合し、将来のケアモデル、特に低所得家庭の小児に対するケアモデルへの示唆をまとめ、オーストラリアにおける歯科医療サービスの助成に関する政策決定に役立てることを目的とする。
データ情報源:PubMed、Web of Science、Embase、Cochrane Library of Systematic Reviews、Cochrane Central Register of Controlled Trials。
適格基準:2020年1月1日~2024年7月31日に発表された一次研究(デザインは問わない)。小児歯科医療サービスの提供について記述され、アクセスまたは利用の構成要素について検討され、英語で発表された研究を対象とした。顎顔面サービスのみを評価した研究は除外した。
データ抽出と統合:MS Excelの標準化されたテンプレートを用いてデータを抽出し、主要な影響分野に基 づいて調査結果を主題別に分類して分析した。研究の質評価は行わなかった。
結果:17ヵ国から54件の論文が収集された。研究では、患者や親による需要を含め、サービスの利用可能性と利用率の低下が確認された。サービスの構成の変化には、緊急治療の割合の増加、エアロゾルを発生させる処置の使用の減少、遠隔歯科治療の使用の増加、ならびに自己管理および予防アプローチなどが含まれた。定期的な歯科治療への大幅な遅れが、より多くの歯科的問題と継続的な必要性、特に未治療のう蝕につながることが観察され、社会経済的に不利な立場にあり、弱い立場にある子どもとその家族に不釣り合いな影響を与えた。
結論:COVID-19の大流行は、世界中の小児に対する一次および二次歯科治療の提供に顕著な悪影響を及ぼした。ケアへのアクセスは、サービスの利用可能性の中断や、COVID-19感染のリスクに対する親の不安に関連したサービスへの需要の変化によって影響を受けた。定期的な歯科治療の受診の遅れや口腔保健行動の変化は、口腔保健サービスに対するニーズの増加につながる可能性が高く、この需要の増加に確実に対応するためにはサービスの適応が必要である。
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