世界的なパンデミックが先天性難聴児の人工内耳手術へのアクセスに及ぼす影響
DOI:10.1016/j.ijporl.2025.112510
アブストラクト
目的:多様な専門分野が連携する人工内耳センターにおいて、先天性難聴児に対する診断から人工内耳(CI)手術までの期間にCOVID-19が与えた影響を明らかにすること。方法:当院で初回耳の人工内耳手術を受けた0~18歳の先天性難聴児(n=102)を対象に、カルテの遡及的調査を実施した。患者は分析のため、COVID-19パンデミック前(n=49)とパンデミック後(n=53)のグループに層別化された。患者の大半は男性(54.9%)、ヒスパニック系(62.7%)、白人(72.5%)であり、メディケイド/マネージドケア保険加入者(67.6%)であった。半数以上が第一言語として英語(55.9%)を挙げ、次いでスペイン語(38.2%)であった。大半の難聴(HL)病因は遺伝的要因(73.6%)によるものであった。
結果:人口統計学的要因(例:民族、主要言語)と転帰変数との初期分析では有意差は認められなかった。COVID-19前群と後群間で、難聴評価から人工内耳評価までの期間、難聴評価から初回人工内耳手術までの期間、初回人工内耳手術時の平均年齢に有意差は認められなかった。興味深いことに、当院における初回HL評価から2耳目CI手術までの期間にCOVID-19前後で差が認められ、COVID-19以前の患者はCOVID-19以降の患者よりも約7か月遅れて2耳目CI手術を受けていた(平均=17.66か月、標準偏差=15.66;平均=10.76、標準偏差=10.62)。
結論:COVID-19は、先天性難聴児における診断から人工内耳(CI)までのタイムラインに悪影響を及ぼさなかった。実際、第1次と第2次人工内耳手術の間隔はCOVID-19以降に短縮され、両耳聴覚へのアクセスが早期化された。さらに、英語話者とスペイン語話者の両グループは、言語の好みにかかわらず、COVID-19前後を通じて聴覚学サービスおよび難聴治療サービスへの公平なアクセスを維持した。全体として、COVID-19制限の影響を最小限に抑えるための対策により、当クリニックは多様な患者集団からなる先天性難聴児に対する人工内耳治療へのアクセスを維持し、一部の領域では改善することができた。
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