三次小児病院における救急部門の過密状態と児童身体虐待の評価
DOI:10.1016/j.chiabu.2025.107780
アブストラクト
背景:救急部門(ED)の過密状態は、医療の質の低下を招く可能性がある。時間の不足は、小児身体虐待の認識を妨げる要因となり得る。虐待による外傷を負った小児患者は、過密状態のEDでは頻繁に特定されない可能性がある。目的:本研究は、EDの過密状態と児童虐待の懸念との相関関係を評価することを目的とした。
対象と設定:2019年1月1日から2023年6月30日までの三次小児救急部門における症例を対象とした後方視的カルテレビューである。
方法:修正国立救急部門過密スコア(mNEDOCS)、滞在時間、診察を受けずに帰った患者の割合、患者数などの救急部門過密指標を、身体的虐待に関する児童保護サービス(CPS)報告、骨格調査(SS)、児童保護チーム(CPT)コンサルテーションを伴う18歳未満の小児救急受診割合と比較した。
結果:310,512件の救急受診における混雑度増加は、CPS報告・SS・入院時CPTコンサルテーションを伴う救急受診割合と負の相関を示し(相関係数ρ:-0.1~-0.21、全てp>0.001)。mNEDOCS最高四分位日と最低四分位日における虐待懸念患者の年齢・処置に差異は認められなかった。 COVID-19期間では救急外来患者数は減少したが、児童虐待懸念を伴う受診の割合は増加した。結論:救急外来の混雑度が高いほど、児童保護サービスへの通報、ソーシャルサービス、または完了したCPTコンサルテーションを伴う救急外来受診の割合が低くなり、繁忙期における虐待の見逃し可能性を示唆している。身体的虐待評価の標準化に向けた取り組みは、混雑時の変動を減少させる可能性がある。
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