中国におけるSARS-CoV-2感染症で入院した小児の重症化リスク因子:後ろ向きコホート研究
DOI:10.1186/s12879-025-12024-9
アブストラクト
背景:重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症は、2019年の出現以来、世界的に急速に拡大している。小児における感染は一般的に軽症であるが、まれに重症化する場合がある。本研究では、オミクロン株流行後の期間にSARS-CoV-2感染症で入院した小児における重症化の危険因子を特定することを目的とする。
方法:本後ろ向きコホート研究は、2022年12月8日から2023年1月17日にかけて中国西安市の大学病院に入院した15歳未満の小児SARS-CoV-2感染患者の記録を基に実施した。重症化に関連する要因を特定するため、多変量ロジスティック回帰分析を適用した。
結果:分析対象164例中、33例が重症、131例が非重症であった。重症度は性別やSARS-CoV-2ワクチン接種状況によって有意差は認められなかった。 重症患児では非重症患児に比べ合併症の有病率が有意に高かった(30%[10/33]対 10.7%[14/131]、p=0.04)。 神経学的症状および多臓器疾患の有病率も、重症疾患の小児では非重症疾患の小児よりも有意に高かった(91%[30/33] 対 27.5% [36/131], p=0.001; 及び 64% [21/33] 対 43.5% [57/131], p=0.039)。 多変量ロジスティック回帰分析により、若年(オッズ比[OR]:0.702、95%信頼区間[CI]:0.551-0.893;p=0.004)、併存疾患の存在(OR:9.042、95% CI:2.505-32.645; p=0.001)、神経学的徴候(OR:217.21、95% CI:34.988-1348.469;p<0.001)が重症化の独立した危険因子であることを明らかにした。
結論:本単一施設後方視的コホート研究は、合併症を有し神経学的症状を示す低年齢児が重症SARS-CoV-2感染症を発症するリスクが高いことを明らかにした。これらの知見は、研究期間の短さ、均一なワクチン種類、変異株特異的解析の欠如といった限界を考慮して解釈すべきである。
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