2024年度診療報酬改定の議論中間まとめ――今後のスケジュールは
厚生労働省(以下、厚労省)は、8月31日に中央社会保険医療協議会 総会を開催し、2024年度の診療報酬改定に向けたこれまでの議論の整理と総括を行うとともに、中間取りまとめを公表した。
厚労省が提出した「令和6年度(2024年度)診療報酬改定に向けた議論の概要」では、入院・外来・在宅のほか、注目を集める医療DX、働き方改革の推進、感染症などテーマごとに現状と課題や論点、主な意見が整理されて示された。今後は、各テーマについて具体的な点数、施設基準などに関する議論が進められる。
「議論の概要」によると、外来におけるかかりつけ医機能の強化では、医療法改正により患者が希望する場合、かかりつけ医機能として提供する医療内容の書面交付が2025年4月から施行となることを指摘。「生活習慣病管理料の療養計画書と内容・役割が重なってくることも考えられる。医療DXを推進する中で、より効率的な情報共有の方法について整理することが必要」との提言があった。
救急医療では、増加する高齢者の救急搬送なども踏まえ、適切な急性期入院医療の提供及び機能分化の観点から転院搬送を含め評価をどう考えるか、との論点が示された。これに対し、「三次救急医療機関以外でも対応可能な病態の患者であった場合には、迅速に下り搬送を行うことが重要ではないか」「高齢者の誤嚥性肺炎や尿路感染症の入院治療については対応可能な地域包括ケア病棟におけるより一層の対応が必要ではないか」などの意見が見られた。ただし、地域包括ケア病棟においては「看護配置が13対1であることなどから対応できる救急医療には限界があることも認識すべき」との声もあった。
働き方改革の推進では、地域医療体制確保加算を算定している医療機関で、時間外労働時間が長い医師の割合が高くなっていることを指摘したうえで、「医師の労働時間短縮の取り組みが進む施設基準であるべきではないか」との見解が示された。
小児医療では、少子化が進む中で小児入院医療管理料を算定する病棟に成人患者が入院している現状を指摘。そのうえで、「小児の患者に対して成長発達段階に合わせた医療及び看護の提供ができるように小児の区域特定などの対応が必要ではないか」との意見が出た。
改定施行が6月1日と後ろ倒しとなり医療機関・薬局・患者のメリット周知を求める声も
診療報酬改定施行時期後ろ倒しについては、「医療機関・薬局に具体的にどのようなメリットがあるのか、患者にどのように還元されるのかを明確化し、丁寧かつ早期に周知してほしい」との要望があった。
なお、2024年度の診療報酬改定の施行時期は、診療報酬改定DXにより医療機関やシステムベンダーなどの負担を考慮して、施行予定だった2024年4月1日から2カ月後ろ倒しの6月1日施行となるが、諮問(1月中旬)・答申(2月上旬)・告示(3月上旬)のスケジュールは例年通りとなる予定。(HealthDay News 2023年9月13日)