
米国小児科学会が新生児高ビリルビン血症の管理に関するガイドラインを改訂
「Pediatrics」より
新生児における高ビリルビン血症はビリルビン脳症や核黄疸をもたらすことがあるため、全ての新生児に適切な対策を取ることが求められる。米国小児科学会(AAP)はこの度、妊娠35週以上の新生児における高ビリルビン血症の管理に関するガイドラインを改訂し、その詳細を「Pediatrics」に8月5日公表した。
今回の改訂は、米オハイオ州のネイションワイド小児病院のAlex R. Kemper氏らによるもの。主な改訂点として、まず、母体の抗赤血球自己抗体を有する新生児を特定し、早期管理に導くためのアプローチが挙げられており、母体の抗体スクリーニングが陽性または未実施のため不明である場合、児に直接抗グロブリン試験を実施し、児の血液型を可能な限り早期に判明させるべきだとしている(エビデンスの質グレードB、推奨)。
また、高ビリルビン血症を予防したり、血清ビリルビン濃度を低下させたりする目的で、水あるいはブドウ糖液を経口補給するべきではないとしている(エビデンスの質グレードB、強い推奨)。さらに、全ての児に対し、出産から退院時まで少なくとも12時間ごとに児の黄疸を目視で評価し、出生後24時間以内に黄疸が認められた児に対しては、できるだけ早く血清総ビリルビン濃度(TSB)または経皮ビリルビン値(TcB)を測定する必要があるとしている(エビデンスの質グレードX、強い推奨)。
そのほか、高ビリルビン血症の治療と退院後のフォローアップに関する推奨事項を提示。産科のある病院や出産センターは新生児の黄疸を予防するために、児に最適なケアを提供するための方針と手順、フォローアップ体制の整備が求められ、さらに、家族には、退院前に、新生児黄疸について書面および口頭による教育を徹底する必要があるとしている(エビデンスの質グレードX、強い推奨)。
Kemper氏は、「核黄疸はまれだが、発症すると児やその家族には甚大な影響が及ぶ」と指摘。その上で、「改訂ガイドラインは、臨床医、産院、産科のある病院において最悪の事態を防ぐための方策を提示するものだ。家族には退院前に新生児黄疸に関する教育を徹底すべきで、これにより家族に児の黄疸の兆候に気付かせ、どんなときに小児科医に診てもらうべきかを理解してもらえるだろう」と述べている。(HealthDay News 2022年8月5日)
- 書誌事項
Clinical Practice Guideline Revision: Management of Hyperbilirubinemia in the Newborn Infant 35 or More Weeks of Gestation
Kemper AR, et al. Pediatrics. Published online August 5, 2022. doi: 10.1542/peds.2022-058859