個人的視点からみた思春期男子に対する9価HPVワクチン接種のリスク・ベネフィット分析
アブストラクト
日本は最近、男性用の4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを承認したが、9価ワクチンは女性用にのみ承認されている。日本における有害事象の懸念から女性のワクチン接種率が低いことを考えると、男性に対するHPVワクチン接種のリスクとベネフィットを定量化することは、日本における思春期男児へのワクチン接種を決定する際に役立つ可能性がある。質調整生存年を用いて、9価HPVワクチン接種を受けた青年男児のリスク-便益比が算出された。男性のHPVワクチン接種により、頭頸部がん、肛門がん、陰茎がん、性器疣贅、および再発性呼吸器乳頭腫症による獲得QALYが、ワクチン接種者100,000人あたりそれぞれ401.63、20.38、9.40、28.79、および69.13低下した。ワクチン接種の総リスクは11.85であった。HPVワクチン接種シリーズを受けた12歳男児のリスク・ベネフィット比は0.022(ベネフィット・リスク比44.670)であった。感度分析では、リスク・ベネフィット比はすべてのシナリオで0.0001から0.11の範囲であった。したがって、個々の観点からみると、男性のHPVワクチン接種に関連するリスクよりもはるかに大きな利益が認められた。この結果は、性中立HPVワクチン接種を国の予防接種プログラムに含めることを支持するとともに、思春期の少年がワクチン接種を受ける決定を強化するものである。