コロナウイルス症2019のパンデミックが喘息増悪で入院した小児の罹患率に及ぼす影響について。
アブストラクト
背景:小児喘息の増悪は、救急外来(ED)受診や入院など、かなりの罹患率を占めています。コロナウイルス症2019(COVID-19)のパンデミックは、小児喘息のED受診や入院の減少と関連していたが、パンデミック中に喘息増悪で入院した小児の臨床特性に関する情報は限られている。
目的: パンデミック時に喘息増悪で入院した小児の臨床的特徴を、前年同月に入院した小児と比較し調査すること。
方法:ワシントンDCのChildren's National Hospitalにて、2020年4月~9月に喘息増悪で入院した2歳~18歳の全児童(症例)と2019年4月~9月(対照)の人口動態および臨床特性を比較するレトロスペクティブケースコントロール研究を実施した。
結果:症例50例、対照243例を確認した。症例は対照群より有意に年齢が高く(9.8 ± 4.3 歳 vs 6.7 ± 3.8 歳;P < .001)、湿疹(16% vs 32.1%;P = .02)および食物アレルギー(6% vs 18.5%;P = .03)は有意に少なく、コントローラー薬の非遵守(46% vs 24.7%;P = .002)は対照より多くなっていた。硫酸マグネシウムは、対照群よりも症例群でより頻繁にEDで投与された(84% vs 63%;P = 0.004)。硫酸マグネシウムの使用は、高齢、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系民族と関連していたが、併存する疾患とは無関係であった。
結論:COVID-19のパンデミック時に喘息で入院した患者は、パンデミック前に入院した患者よりも高齢で、アトピーが少なかった。また、救急外来で硫酸マグネシウムを投与された患者の割合が多く、パンデミック時に喘息の症状が重篤化したことが示唆された。