慢性鼻副鼻腔炎患児におけるアデノイド切除術前後の細菌プロフィールの変化。
アブストラクト
目的:慢性鼻副鼻腔炎(CRS)患児の鼻腔とアデノイド表面の細菌プロファイルの違いを調査することを目的とした。また、アデノイド切除前後の鼻腔内細菌プロファイルの違いと臨床的予後との潜在的な相関関係を明らかにし、分析することを目的とした。
方法:小児患者の臨床情報を収集した。すべての小児にアデノイド切除術(扁桃摘出術の有無にかかわらず)を施行し、手術中にスワブサンプルを採取した。術後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月に視覚的アナログスケール(VAS)を用いた。12ヵ月後のフォローアップ検査で、綿棒サンプルが再度採取された。採取した検体の16S rRNAのv3-v4可変領域のPCR増幅と、イルミナプラットフォームを用いたハイスループットシークエンシングを行った。菌種情報は、OTUsクラスタリング、菌種アノテーション、およびα多様性解析によって得られた。
結果:小児患者22名(男性)、8名(女性)を対象とした。アデノイド切除術前の鼻腔表面で最も豊富な属レベルの細菌代表は、 、 、 、 、 、であったのに対し、アデノイド表面では、 、 、 、 、であった。術後1年、鼻腔表面で最も豊富な属レベルの細菌は、 、、、、、および培養不可能であった。術後1年後、鼻腔内の細菌濃度はベースライン時よりも有意に高かった(< .05)。さらに、すべての小児の主観的鼻腔スコアは、術後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月で有意に低下した(< .01)。
結論:術前の鼻腔とアデノイド表面の細菌量は同程度であり、明らかな相関がみられた。小児におけるCRSの発症に関連する単一の特定の細菌が支配的な菌種であることは立証されなかった。アデノイド切除後の鼻腔内の細菌量は有意に増加しており、これは術後の副鼻腔炎症状の緩和と密接に関連していると考えられた。