プライマリケア電子カルテによる湿疹の症例定義の妥当性:レトロスペクティブな横断的研究
アブストラクト
背景: Canadian Primary Care Sentential Surveillance Network(CPCSSN)のプライマリケア電子カルテ(EMR)データを用いて、湿疹の症例定義の妥当性を検証する。
方法:本研究では、カナダ7州の1,574のプライマリケア医療機関のEMRデータを使用し、689,301人の患者を対象とした。7人の医学生または家庭医学の研修医が患者記録のサブセットを使用して、1,772人の患者を参照セットとして作成した。合計23の臨床医による症例定義が、参照セットに対して検証された。感度(SE)、特異度(SP)、陽性適中率(PPV)、陰性適中率(NPV)、総合精度を用いて、一致度を評価した。最も一致度の高い統計値を持つ症例定義が、CPCSSNにおける湿疹の有病率を推定するために導入された。
結果:症例定義1は、SE(92.1%、85.0-96.5)が最も高かったが、SP(88.5%、86.7-90.1)およびPPV(36.6%、33.1-40.3)は低かった。症例定義7は、SP(99.8%、99.4-100)、PPV(84.2%、61.2-94.7)はあるがSE(15.8%、9.3-24.5)は低く、最も特異性の高い症例定義であった。症例定義17は、SE(75.3%、65.7-83.3)、SP(93.8%、91.5-94.3)、PPV 43.7%(38.3-49.2) であった。最も特異的な症例定義と最も敏感な症例定義を適用した場合、湿疹の有病率は0.8~15.1%と推定される。症例定義17では、湿疹の有病率は8.2%(8.08~8.21%)と推定される。
結論:我々は、臨床医が記録した湿疹の有病率を推定するためのEMRベースの湿疹症例定義の妥当性を確認した。今後の研究では、カナダにおける湿疹ケアに関連する疾病の負担や介入を調査するだけでなく、疾病サーベイランスに情報を提供するために、研究の目的に応じてこれらの定義の1つまたは複数を適用することを選択できる。