ABCD研究における過体重/肥満に関連したフィンブリア-ホルニクスの微細構造変化:有酸素性身体活動の役割。
アブストラクト
小児期の過体重/肥満は、脳機能に関連する否定的な結果と関連しており、認知および情動処理に重要な白質経路の変化に関与している可能性がある。有酸素運動は、白質の変化を回復させる可能性のある有望なライフスタイル因子である。しかし、過体重・肥満の子どもにおける局所的な白質変化や、肥満に関連した子どもの脳変化を標的とした有酸素性身体活動の効果については、ほとんど知られていない。本研究では、米国の9~10歳の小児(n=8019)を対象とした大規模な集団ベースの横断的データセットを用いて、過体重/肥満と辺縁系白質路の微細構造との関連を検討し、有酸素性身体活動が小児の過体重/肥満に関連した白質変化を軽減しうるかどうかを検討した。主要アウトカム指標は、制限スペクトル画像(RSI)由来の白質微細構造完全性測定であった。小児が1日60分以上の有酸素性身体活動を行った週の日数を評価した。大脳辺縁-海馬の主要な白質路であるfimbria-fornixの完全性の測定値が、痩せ型の同世代の子どもよりも低いことがわかったが、男性ではこの差は有意ではなかった。また、過体重/肥満の女性において、1週間に有酸素性身体活動を行った日数とフィンブリア-フォルニクスの完全性測定値との間に正の関係が認められた。この結果は、過体重・肥満の子どもにおけるフィンブリア-フォルニクスの性特異的微細構造変化の横断的証拠を提供し、有酸素性身体活動がこの変化を軽減する役割を果たす可能性を示唆している。今後の研究では、小児期の過体重・肥満と脳の変化との因果関係を検討し、この関係に対する有酸素性身体活動の効果を検証するための潜在的介入を評価すべきである。