COVID-19ロックダウンと中枢性思春期早発症率。
アブストラクト
目的:本研究の目的は、高度に専門化された内分泌学センターにおける特発性中枢性思春期早発症(CPP)の発生率を、COVID-19ロックダウン開始前後で比較することである。
方法:特発性CPPの女児49人(ロックダウン前に発症した30人、ロックダウン後に発症した19人)のオーソロジカル・プロファイルをレトロスペクティブに解析した。患者の特徴(病歴、身体診察、ベースラインおよび動的ホルモン評価、骨年齢、骨盤超音波検査)を収集し、両群間で比較した。
結果:2020-2021年のCPP発症率は、過去6年間と比較して約3倍に増加した。ロックダウン後の患者では、年齢(p 0.0866)、思春期徴候の発現から診断までの日数(p 0.0618)ともに、診断が早まる傾向が見られた。また、ロックダウン後の患者では、視床下部-下垂体-性腺軸の活性化が有意に低く(GnRH試験後の∆LH%が低い、p 0.0497)、TW3法を用いてRUSで算出した骨年齢の上昇が有意に低く(p 0.0438)、女性では卵巣の活性化が有意に低下していた(δ-4-アンドロステンジオン値が低い、p 0.0115)。興味深いことに、ロックダウン後の患者は初潮年齢が高い母親から生まれた(p 0.0039)。
結論:ロックダウン後に新たにCPPと診断された患者の有意な増加が確認されただけでなく、ロックダウン後の女児で得られた知見は、CPPの進行性の低さと、思春期開始時期の決定において遺伝的背景と比較して環境の影響の強さを示唆している。