小児CRSにおけるZ-Form細胞外DNAは、治療に対する不応性のメカニズムになるかもしれない。
アブストラクト
目的:小児慢性鼻副鼻腔炎(CRS)患者から回収した副鼻腔粘膜検体を用いて、Zフォーム細胞外DNA(eDNA)の存在を調べた。さらに、一般的なB-DNAを希少なZ-フォームに変換する役割が知られていることから、これらの検体を免疫標識し、細菌DNA結合性DNABIIタンパク質ファミリーの両メンバー、統合宿主因子(IHF)とヒストン様タンパク質(HU)の存在を確認した。
方法:機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)を受けた20名の患者から回収した副鼻腔粘膜サンプルを、B-DNAおよびZ-DNA、ならびに両細菌DNABIIタンパク質について免疫標識した。
結果:20検体中19検体(95%)にeDNAの豊富な領域が認められ、その大部分はZ型であった。B-DNA陽性の領域は、粘膜標本の最も遠位に限られていた。DNABIIタンパク質のラベルはB-DNAとZ-DNAで観察され、B-DNAからZ-DNAへの変換におけるこれらのタンパク質の役割と一致した。
結論:培養陽性小児CRS検体中の豊富なZ型eDNAは、細菌性DNABIIタンパク質が、NETosis中にPMNによって管腔内に放出された真核生物B-DNAをZ型に変換する役割を担っていることを示唆した。DNABIIタンパク質がB-DNAとZ-DNAの両方に存在することは、B-DNAからZ-DNAへの変換におけるこれらの細菌タンパク質の既知の役割を裏付けるものであった。Z-フォームDNAは細菌のバイオフィルムを安定化させ、PMNのNETによる捕捉された細菌の殺傷を不活性化させることから、この変換がCRSの慢性化と治療に対する不応性の一因になっている可能性がある。
エビデンスレベル: NA Laryngoscope, 134:1564-1571, 2024.