神経性食欲不振症と非定型神経性食欲不振症では、精神疾患の併存や治療効果にほとんど差はない。
アブストラクト
目的:非定型神経性食欲不振症(AN)の患者が部分入院プログラム(PHP)における摂食障害(ED)治療にどのように反応するか、また、トラウマ、小児期の虐待、精神疾患の併存、自殺念慮や自殺行動などの特定の因子が治療成績の低下にどのように寄与するかについてはほとんど知られていない。そこで本研究では、(1)摂食障害PHP入院時のAN患者と非定型AN患者のこれらの因子の有病率を比較し、(2)PHPの治療反応を群間で比較し、(3)これらの因子を経験することが治療転帰に影響するかどうかを検討した。
方法:PHPに入院した若年成人のAN(n=95)および非定型AN(n=59)の後方視的カルテレビューを行った。精神医学的併存疾患と幼少期の有害体験の履歴は、初回の精神医学的評価から得た。ED症状は、入所時および退院時に摂食障害検査質問票(EDE-Q)を用いて評価した。
結果:ED症状の重症度,生涯トラウマ,小児期の虐待,精神医学的診断の数,自殺念慮や自殺行動の有病率において,入所時に有意差は認められなかった。退院時の症状にも群間差はみられなかった。感情的虐待は、退院時の体型および体重の過大評価に有意に関連していた。その他の摂取特性は退院時の症状と有意な関係はなかった。
考察:我々の知る限り、本研究は、PHPにおいてANと非定型ANの併存疾患の有病率と治療成績の差を比較した初めての研究である。この結果は、体重以外に、ANと非定型ANを確実に区別する特性はほとんどないことを示唆する文献の増加に追加するものである。
社会的意義:本研究は、神経性食欲不振症(AN)と非定型ANが真に異なる診断であるかどうかについて疑問を投げかける文献が増加する中で、その一助となるものである。われわれの知見は、この2つのグループが部分入院プログラム(PHP)において、同様のED症状、生涯トラウマ、小児期の虐待、自殺念慮や自殺行動の有病率、精神医学的併存疾患の数とともに治療を受け、PHPにおいて同様の治療経過を示すことを示唆している。