骨形成不全患者におけるトラネキサム酸使用の安全性と有効性を評価する。
アブストラクト
背景:骨形成不全症(OI)は通常、骨折負担の増加 と骨の変形を引き起こし、その後の手術が一般的 である。骨格症状に加えて、整形外科手術の頻度が増 加するため出血しやすくなる可能性があり、このリ スクを軽減する方法の検討が必要である。本研究の目的は、起立耐性失調のある小児の術中 出血を減らすためのトラネキサム酸(TXA)使用の安 全性と有効性を評価することである。この患者集団におけるTXA使用に伴う潜在的な利益、リスク、合併症を評価したい。
方法:TXAを投与された患者(症例)とTXAを 投与されなかった対照群を、年齢2歳以内、骨カテゴリー、起立 耐性失調のタイプで1:1にマッチさせた。データの要約には記述統計を用いた。群間の輸血状況の比較にはFisher Exact 検定を用いた。入院日数、手術期間、推定出血量(EBL) の群間差の評価には、Wilcoxon Rank Sum 検定を用いた。すべての解析はSASバージョン9.4を用いて行われた。P<0.05を統計的に有意とみなした。
結果:TXA投与群30名の内訳は、女性11名、男性19名であった。I型起立耐性失調が1例、III型起立耐性失調が13 例、IV型起立耐性失調が14例、その他(I型~IV型 以外)が2例であった。輸血状況には有意差が認められ(P =0.02)、輸血を必要と したTXA患者は0例であったのに対し、対照例では20% であった。EBL中央値にも群間で有意差があり(P =0.0004)、TXA群では術中のEBLが減少した(20対62.5mL)。TXA投与群と非投与群では、術後入院日数中央値にも差がみられた(P =0.001; 2.6 vs. 4 d)。
結論:起立耐性失調患者におけるTXAの使用は、周 術期の輸血量と術中出血率の低下と関連すると結論付 けられた。これらの結 果は、術中出血を減らすために起立耐性失調患者に TXAを標準的に使用することを支持するものである。
証拠レベル:レベルIII。