小児の大規模コホートにおける原因不明の重症急性肝炎。
アブストラクト
背景:カナダの大規模な4次小児科センターに原因不明の重症急性肝炎で受診した、それまで健康であった小児の割合、臨床的特徴、転帰を評価した。
方法:The Hospital for Sick Childrenにおいて、2018年6月1日~2022年5月31日の間に血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>500U/Lまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)>500U/Lを示した全患者を同定した。AST>500U/Lのみの被験者は除外した。本研究期間および2018~2021年の各年10月1日~5月31日のALT>500 U/Lの明確な病因のない患者(原因不明の重症急性肝炎)の臨床的特徴、検査、転帰を検討した。
結果:ALT/AST>500 U/Lの患者977例中、ALT>500 U/Lのみの患者は720例であった。6ヵ月未満(n=99)または16歳以上(n=66)、既往の肝疾患が判明している(n=66)、すでに入院している患者のALT>500 U/L(n=151)は除外した。来院時にALT>500U/Lであった残りの338例のうち、303例で病因が同定された。33人(9.8%)の小児[年齢中央値6.1歳(範囲0.5~15.5);61%男性]が、原因不明の重症急性肝炎と確定された。20例(60.6%)がPCR法による血中アデノウイルス検査を受け、1例(5%)が陽性であった(血清型B7)。18例の肝組織検体では、ウイルス封入体やアデノウイルスの証拠は認められなかった。12例(36.3%)が小児急性肝不全を呈し、8例(24.2%)が肝移植を必要とした。死亡例はなかった。肝炎関連再生不良性貧血は5例(15%)にみられた。
結論:48ヵ月間に4次小児病院に重症急性肝炎を発症した小児のうち、9.8%は原因不明であり、経時的な変化はみられなかった。肝移植は、小児急性肝不全の表現型を呈する患者に対する重要な治療戦略であることに変わりはない。ヒトアデノウイルス感染に関連する症例の頻度は、非依存的であった。