多発骨折、低骨量、重度の骨軟化症を有する3人の小児における骨形成不全症と低ホスファターゼ症の合併、治療管理上の課題。
アブストラクト
骨形成不全症(OI)と低ホスファターゼ症(HPP)は、それぞれI型コラーゲン(COL1A、COL1A2)とアルカリホスファターゼの組織非特異的アイソザイム(ALPL)をコードする遺伝子の変異によって引き起こされるまれな骨格疾患である。骨組織の異常はかなり異なるが、両疾患とも 骨格の変形と骨の脆弱性をもたらす。起立耐性失調の患児は骨量が少なく、骨 基質が高ミネラル化するのに対し、HPPの患児は くる病と骨軟化症を発症する。われわれは、発育遅延、低骨量、再発性骨折に罹患し た父子3人の家族を報告する。いずれもくる病、青色強膜、象牙質形成不全症は認めなかった。血清中のALP値は低く、遺伝学的検査により、4人の患者にCOL1A2のc.838G > A (p.Gly280Ser)とALPLのc.1333T > C (p.Ser445Pro)にヘテロ接合性の病原性変異があることが判明した。集学的会議の後、治療決定のために各兄弟に診断的経腸骨生検が指示された。同じCOL1A2変異を持つ小児対照例とI型起立耐性失調児の参照値と比較した骨組織学と組織形態学では、同様に海綿骨量の減少、骨細胞ラクナの増加、さらに重度の骨軟化症が認められた。定量的後方散乱電子イメージングにより、骨軟化症で予想されるほど骨基質のミネラル化は低下していないことが示された。まとめると、それぞれの生検検体には起立耐性失調 の古典的特徴とHPPの古典的特徴が認められた。骨塩 化密度の分布がほぼ正常であるのは、おそらく起立耐性失調 とHPPのマトリックス塩基形成に対する作用が異なっ ているためであろう。ALP酵素補充療法と1ヵ月後のビスフォスフォネ ート薬の併用療法が開始された。継続的な治療により、骨格の成長 が改善し、BMDが増加し、骨折発生率が著しく 低下した。