周産期心筋症の20年間の集団研究。
アブストラクト
背景と目的:欧州における周産期心筋症(PPCM)の疫学は十分に理解されておらず、長期転帰に関するデータも不足している。1998年から2017年までのスコットランドにおけるPPCMの有効症例を対象としたレトロスペクティブな観察的集団レベルの研究を実施した。
方法:妊娠前後にde novo左室収縮機能障害と推定され、明確な代替原因がなく入院した女性を対象とした。各症例は10例の対照とマッチさせた。発生率と危険因子を同定した。母児の罹患率と死亡率を調査した。
結果:PPCMの発生率は分娩4950例に1例であった。PPCMを発症した225人の女性のうち、肥満、妊娠高血圧症候群、多胎妊娠が発症と関連していた。中央値8.3年(心エコーでは9.7年)の間に、PPCM患者の8%が死亡し、75%が少なくとも1回は何らかの原因で再入院した。PPCM女性における死亡率と再入院率は、それぞれ対照群の約12倍と約3倍であった。全死亡、機械的循環補助、心臓移植の複合は14%にみられた。LVが回復したのは76%で、回復した人のうち13%は、最初の回復にもかかわらずLV収縮機能が低下した。PPCMの女性から生まれた子供の死亡率は、対照群から生まれた子供の約5倍であり、中央値8.8年間の心血管疾患の発生率は約3倍であった。
結論:PPCMは妊娠前後の女性4950人に1人が罹患していた。この疾患は母児にかなりの罹患率と死亡率をもたらす。リスクのある女性を調査する閾値は低くあるべきである。見かけの回復にもかかわらず、長期間の経過観察を考慮すべきである。