グルカゴン様ペプチド1およびペプチドYYと妊娠低年齢児のキャッチアップ成長との関係。
アブストラクト
目的:SGA(small for gestational age)児は、成人期にインスリン抵抗性、2型糖尿病、心血管疾患を発症するリスクが高い。腸管L細胞から分泌される消化管ペプチドは、グルコースと脂質の代謝を調節し、視床下部に作用してエネルギーの恒常性を調節する。この研究の目的は、SGAにおける代謝障害に消化管ペプチドが関与しているかどうかを探ることであるが、この点についてはまだ不明な点が多い。
方法:SGAで出生した思春期前の小児を対象に、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)とペプチドYY(PYY)の分泌を調べ、キャッチアップ成長と持続性低身長の違いを比較し、グルコースおよび脂質代謝との相関を解析した。GLP-1、PYY、インスリン様成長因子1、グルコース、インスリン、脂質の濃度を、低身長(SGA-s)、キャッチアップ成長(SGA)、妊娠年齢に適した正常成長(AGA)の3群に層別化した4~10歳の思春期前の小児で分析した。
結果:空腹時GLP-1およびPYY濃度は、SGA群ではAGA群よりも有意に低く(p<0.05)、SGA出生児のキャッチアップ成長児のGLP-1濃度はSGA-s群よりも低かった(p<0.05)。SGA集団では、GLP-1はキャッチアップ成長との弱い負の相関(r=-0.326)および空腹時インスリンとの正の相関(r=0.331)を示した。
結論:低GLP-1濃度は、SGAで出生したキャッチアップ成長児の糖代謝異常と関連している可能性がある。これは、腸管L細胞の機能低下がSGA児の代謝性合併症の発症に関与している可能性を示す間接的証拠である。