成長ホルモン中止後12年目にSGAとして出生した成人における脳血管異常の対照群との比較。
アブストラクト
背景:小児期に成長ホルモン(GH)治療を受けた妊娠低年齢児(SGA)生まれの成人では、一般集団に比べて脳血管障害の増加が報告されている。しかし、これまでの研究では適切な対照群を設定していなかったことが大きな限界であった。
方法:この単施設前向き研究では、2016年5月から2020年12月の間に3T MRI装置を用いて脳MRIを行った。MRI画像は、患者のグループ分けを盲検化した2名の神経放射線科医が採点した。参加者は、過去にGH治療を受けたSGA生まれの成人、および3つの未治療対照群:SGA生まれで持続性低身長の成人(SGA-S)、SGA生まれで正常身長まで自然にキャッチアップ成長した成人(SGA-CU)、および正常身長で妊娠適齢期に生まれた成人(AGA)であった。介入は小児期の長期GH治療であり、主要アウトカム指標は脳血管異常であった。
結果:合計301人の成人を対象とした。動脈瘤は6人の成人にみられた:3例(3.6%)がSGA-GH、1例(2.9%)がSGA-S、2例(2.2%)がAGAであった。脳内出血の既往はSGA-S成人2例(4.8%)のみであった。微小出血は17人の成人に認められた:SGA-GH成人4例(4.3%)、SGA-S成人4例(9.5%)、SGA-CU成人3例(4.3%)、AGA成人6例(6.3%)。
結論:我々の所見は、GH中止後12年目のSGA-GH成人は、適切な対照群と比較して脳血管異常の有病率が増加しないことを示唆している。我々の所見を確認するためにはさらなる研究が必要である。