骨形成不全症患者における内皮機能障害の早期放射線学的マーカーと心血管所見に関する症例対照研究:遺伝子型-表現型相関。
アブストラクト
目的:骨形成不全症(OI)は、コラーゲン合成の 欠陥によって引き起こされる疾患である。1型コラーゲンは心血管系の多くの 構造物に存在する。内皮機能障害は、アテローム性動脈硬化症の 構造的・臨床的徴候が現れる前に発症し、アテローム 発生に重要な役割を果たすと考えられている。内皮機能障害は、流動媒介拡張(FMD)や頸動脈内膜中膜厚(CIMT)のような非侵襲的な放射線学的手法によって前症候性に検出されることがある。これらの方法は内皮機能障害の早期指標となりうる。この横断的比較研究の目的は、起立耐性失調 患者と健常対照者における内皮機能障害と心血管系疾 患の早期の放射線学的マーカーを調べ、起立耐性失調 の遺伝子型との相関を検討することである。
方法:起立耐性失調と診断された患者30名と、年齢 と性別をマッチさせた健常対照者30名を一組とし、 心エコー図所見を比較した。
結果:いずれの患者にも心血管系の基礎疾患は認め られなかった。平均年齢は13.18±2.91歳であった。Sillence分類によると、15例が1型起立耐性失調、 10例が3型起立耐性失調、5例が4型起立耐性失調であった。起立耐性失調群の平均CIMTは対照群より高く (起立耐性失調群:0.42±0.06mm、健常対照群: 0.34±0.04mm、p<0.01)、平均FMDパーセントは患 者群で低かった(p<0.01)。左室駆出率は78.97 ± 10.32 vs. 77.56 ± 8.50 %(起立耐性失調群:7.00 ± 3.06 vs. 健常対照群:12.14 ± 1.99, p=0.56)、左室分画短縮率は42.68 ± 11.94 vs. 40.23 ± 7.99 %(p=0.35)であった。
結論:心血管系の臨床的異常を認めない起立耐性失調 の小児患者は、健常対照群に比べ、CIMTとFMD所見が 有意に不良であった。しかし、左室駆出率や左室分画短縮を比較した場 合、差は認められなかった。起立耐性失調患者は、幼少期から心血管系合併症 のスクリーニングを受ける必要があるかもしれない。