カナダ、モントリオールの小児糖尿病センターから成人医療に移行した1型糖尿病の新成人の視点を探る質的研究。
アブストラクト
はじめに:1型糖尿病(T1D)患者である青少年において、小児期から成人期への移行期における糖尿病セルフケアや医療フォローアップへの要求の高まりは、罹患率や死亡率の増加と関連している。移行期の青少年に対する不十分な医療支援は、成人期によくみられる心理社会的リスクや困難を悪化させる可能性がある。今回の調査では、T1D患者である新成人の成人期医療への移行に関する移行後の認識を探ることを目的とした。
研究計画および方法:小児科治療中にT1Dとともに生きる33人の新成人をリクルートし、カナダのモントリオールで成人治療への移行後(移行後16.2±4.2ヵ月)に半構造化面接を行った。主題分析を用いてデータを分析した。
結果:4つの主要テーマが抽出された:(1)移行プロセスに対する認識は、小児医療提供者(HCP)からのアドバイスや情報は最小限であり、迅速かつ突然であったものから、自己管理への動機づけが大きく、移行が発達期と同時であったことを含むより肯定的なものまで様々であった。(2)移行プロセスに対する促進因子としては、HCPや家族または友人からの情報提供や具体的な社会的支援、成人HCPとの良好な関係、成人ケアクリニックや成人HCPとのコミュニケーションの容易さなどが挙げられた;(3)適切な移行を阻む障害としては、小児HCPからのアドバイスや情報の不足、HCPや友人・家族からのサポートの喪失、医療サービスの分離、成人診療所やHCPへの予約の困難さなどが挙げられた。
結論:新成人の経験や認識は、小児期に発症した慢性疾患の移行プログラムの継続的な開発と改善の指針となる貴重なものである。