妊婦におけるB群レンサ球菌検出のための選択的濃縮ブロスの有用性に関する多施設共同研究。
DOI:10.7883/yoken.JJID.2023.295
アブストラクト
妊婦におけるB群レンサ球菌(Streptococcus agalactiae、GBS)の普遍的スクリーニングは、新生児の重症感染症予防のために重要である。米国では選択的濃縮ブロスを用いたサブカルチャー法によりGBSの検出率が大幅に向上しているが、日本では大規模なバリデーションが行われていないことなどから、この方法はあまり普及していない。そこでわれわれは複数の施設と共同でサブカルチャー法の有用性を検証することを目的とした。福島県立医科大学附属病院、愛育病院、北野病院、琉球大学医学部附属病院において、2020年3月1日から2020年8月30日までに妊娠週数35~37週の妊婦から合計1957例の膣直腸スワブ検体を採取した。GBS検出は、従来の寒天平板直接法、選択濃縮ブロスを用いたサブカルチャー法、培養ブロスを用いた直接ラテックス凝集(LA)法を行い、不一致の結果はリアルタイムPCR法で確認した。直接寒天平板法,サブカルチャー法,直接LA法によるGBS検出率は,それぞれ18.2%(357/1957),21.6%(423/1957),22.3%(437/1957)であった.選択的濃縮ブロスの使用は高感度でのGBS検出に有望であり,本邦における新生児のGBS関連感染症予防のためのGBSスクリーニングに推奨される.