小児救急領域における喘息増悪:プレホスピタルケアの評価と改善への展望。
アブストラクト
はじめに:喘息で救急外来を受診する頻度は、小児科における公衆衛生上の重要な問題である。本研究は、喘息増悪で小児救急部を受診した小児の特徴を明らかにし、入院前の治療管理を評価することを目的とした。
方法:喘息増悪の臨床診断で救急外来を受診した1~16歳の小児を対象に、5病院の小児救急部で6ヵ月間にわたり前向き研究を行った。
結果:全部で143例の患者が登録された。喘息エピソードは69.2%の症例(n = 99)で中等度から重症であった。救急部に入院する前の初期治療が適切であった症例は17.5%(n=25)であった。24時間以上の入院は18.2%(n=26)の患者にみられた。3歳未満の小児では、91.4%(n=64)の症例でウイルス感染が認められ、増悪は若年(P=0.002)および低所得層(P=0.025)の小児でより重症であった。SARS-CoV-2陽性(抗原検査またはポリメラーゼ連鎖反応検査)はわずか17.4%(n=25)であり、パンデミック時においても喘息増悪への従来の呼吸器系ウイルスの関与が継続していたことが示唆された。病院前の治療については、70.6%(n=101)が事前に治療を受けていたが、53.1%(n=76)ではこの治療が不十分であった。
結論:この調査から、喘息児とその家族はこの病気についてほとんど知識がなく、医師は喘息児を管理するための現在の推奨事項を十分に理解する必要があることが示された。喘息による救急部への入院は、より良い診断と治療教育によって部分的に回避できる可能性がある。