中国における喘息の医療資源利用と関連費用:1年間の後方視的研究。
DOI:10.1186/s12890-023-02685-0
アブストラクト
背景:重症でコントロール不良の喘息は、より多くの臨床的アンメットニーズと医療資源の集中的利用を伴うという証拠があるにもかかわらず、中国における重症喘息の支出に関するデータは限られている。本研究は、喘息に苦しむ中国人の経済的負担をよりよく理解するために、喘息の医療資源利用(MRU)コストを評価し、コスト要因を探ることを目的とした。
方法:中国の全国請求データベースを用いてレトロスペクティブ分析を行った。2015年中に喘息の主診断を受け、喘息に関連した受診・入院をした6歳以上の患者を対象とした。喘息の重症度(軽症、中等症、重症)を特定するために、GINAおよび中国のガイドラインに基づく代理として投薬が用いられた。MRUコストドライバーを特定するために、重回帰モデルが実施された。
結果:喘息と診断された7,254人の患者が対象となった:4,529人(62.4%)、2,200人(30.3%)、525人(7.2%)がそれぞれ軽度、中等度、重度の喘息であった。重症患者1人当たりの1年間の喘息治療費は平均6,782人民元、入院率は57.0%で、全人口の平均の3.9倍、4.4倍であった(いずれもP<0.001)。増悪を経験した患者の割合は、軽症群(30.0%)および中等症群(16.8%)に比べ、重症喘息群(66.5%;P<0.001)で有意に高かった。1,660サンプルの年間連続データを有するサブグループでは、重症患者の年間コストは8,314人民元、入院率は52.2%であった。重度の増悪(2回以上)を頻回に経験した13%の重症患者の年間平均コストは23,037人民元(P < 0.001)と最も高かったが、6~14歳の小児の年間コストは軽症患者で1,094.2人民元、中等症患者で1,660.2人民元、重症患者で3,020.2人民元とそれぞれ低かった。多重モデルでは、重症度、コントロール状態、合併症、年齢、居住地域がMRU費用の独立したドライバーであることが確認された。
結論:中国の喘息患者は経済的負担が大きい。重症喘息は、軽症から中等症喘息と比較して、MRU(主に入院による)と費用が高い。喘息費用の主な要因である重症度と合併症のコントロールに、より多くの努力を傾けるべきである。