中枢性思春期早発症と血圧との関連:前向きコホート研究。
アブストラクト
背景:小児期から思春期にかけて血圧の性差が現れるが、中枢性思春期早発症(CPP)の役割は不明である。本研究では、女児と男児におけるCPPと早期高血圧のリスクおよび血圧の推移との関連を検討することを目的とした。
方法:台湾思春期縦断研究(Taiwan Pubertal Longitudinal Study)において、6~13歳の女児(n=305)と10~15歳の男児(n=153)の思春期前後の血圧の軌跡を解析した。思春期の開始時期は、子どもたちがタナー期2に達した月と定義した。CPPと早期高血圧リスクとの関連、および思春期発症前後のBP軌跡を検討した。
結果:男児では,CPPは早期高血圧と関連していた(オッズ比,7.45[95%CI,1.15-48.06])。CPPを有する男児は、思春期発症前(平均差、6.51[95%CI、0.58-12.43])および思春期発症後(平均差、8.92[95%CI、8.58-15.26])において、正常思春期発症者よりも収縮期血圧が高かった。
結論:CPPの男児で観察される収縮期血圧の高値の大部分は、正常な思春期発症の男児に比べて思春期以降に生じる。
影響:我々は、中枢性思春期早発症が早期高血圧と関連しているかどうかをよりよく理解するために、中枢性思春期早発症と血圧軌跡との性特異的関連を検討した。中枢性思春期早発症は、特に男児における思春期開始後の収縮期血圧の軌跡の違いと関連していた。男児においてのみ、中枢性思春期早発症は早期高血圧と関連していた。中枢性思春期早発症の男児で観察された、正常な思春期発症の男児に比べて高い収縮期血圧の大部分は、思春期以降に生じたものであった。中枢性思春期早発症を標的とした介入は、成人期早期の収縮期血圧に影響を及ぼす可能性が高い。