視床下部Kiss-1/Kiss1Rシステムの制御による中枢性思春期早発症雌性マウスにおけるメラトニンの治療効果。
アブストラクト
近年、小児の中枢性思春期早発症(CPP)が一般的になりつつあり、心身の健康に深刻な影響を及ぼしており、安全で効果的な治療法の発見が求められている。本研究の目的は、CPPに対するメラトニンの治療効果を検討することである。5日齢の雌マウスにダナゾール300マイクログラムを皮下注射し、その後メラトニンとリュープロリドを投与することによりCPPモデルを確立した。膣の開口は毎日チェックした。マウスの体重を測定し、生殖腺の重量を測定し、生殖腺指数を算出し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色により生殖腺の発達を観察した。血清中の卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)およびエストラジオール(E)濃度はELISA法で測定した。RT-PCRとウェスタンブロッティングを用いて、視床下部のKiss-1、Kiss-1受容体(Kiss1R)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、下垂体GnRH受容体(GnRHR)のmRNAとタンパク質の発現を同定した。その結果、メラトニンはCPP雌マウスの膣開口時間を遅延させ、体重、性腺重量および指数を減少させた。メラトニン投与は、雌性CPPマウスにおいて子宮壁の肥厚と卵巣の黄体化を抑制する。メラトニン投与は、CPP雌性マウスのFSH、LH、Eの血清濃度を低下させた。メラトニンは、CPP雌マウスの視床下部におけるKiss-1、Kiss1RおよびGnRHの発現を抑制し、下垂体におけるGnRHRの発現を抑制した。この結果は、メラトニンがKiss-1/Kiss1Rシステムをダウンレギュレートすることにより、視床下部-下垂体-性腺(HPG)軸を抑制し、雌マウスのCPPを治療できることを示唆している。