重症喘息における2型標的治療に対する反応不良に影響する因子:レトロスペクティブコホート研究。
アブストラクト
背景:様々な喘息の表現型が認識され、管理ガイドラインが更新されたことで、重症喘息の治療において大きな進展があった。ベンラリズマブやオマリズマブなどの2型標的治療薬は、重症喘息に対する有効な治療法として同定されており、患者の反応性、肺機能検査、喘息の症状コントロールを改善している。本研究では、治療効果不良の要因を評価することを目的とした。
方法:生物学的製剤による治療を開始した重症喘息患者162例を対象としたレトロスペクティブ単一施設コホート研究である。反応不良例とは、あらゆる治療選択肢を追加したにもかかわらず、臨床的および機能的にコントロールされていない患者であった。
結果:小児期発症喘息、気管支拡張症、症状コントロール不良(ACT19未満)、重度の気道閉塞(予測値60%未満)、経口コルチコステロイド(mOCS)の維持使用は、オマリズマブおよびベンラリズマブに対する反応不良と有意に関連していた(それぞれp=0.0.4および0.01;0.003および0.01;0.01および0.001;0.05および0.04;0.006および0.02)。しかし、慢性鼻副鼻腔炎と220kIU/L未満のIgEは、オマリズマブに対するより低い反応率と関連していた(それぞれp = 0.01と0.04)。同時に、女性患者と血中好酸球が500cells/mm3未満の患者では、ベンラリズマブに対する反応不良率が高かった(それぞれp = 0.02と0.01)。虚血性心疾患(IHD)、気管支拡張症、OCSの継続使用は、オマリズマブに対する反応不良の可能性を21倍、7倍、24倍に増加させた(それぞれp = 0.004、0.008、0.004)。一方、女性、小児期発症喘息、高BMIはベンラリズマブに対する反応不良の可能性をそれぞれ7倍、7倍、2倍増加させた(それぞれp = 0.03、0.02、0.05)。
結論:オマリズマブに対する反応不良は、虚血性心疾患(IHD)、気管支拡張症、経口コルチコステロイド維持療法(mOCS)の使用歴と独立して関連していた。逆に、ベンラリズマブ治療に対する反応不良は、女性であること、小児期発症の喘息であること、体格指数(BMI)が高いことと独立して関連していた。